自営農家、大規模農家と連携した「農地の保全」と「相互の経営安定」

いずみ営農組合を泉集落の農地の受け皿とし、地域内の自営農家(オペレーター)および地域外の大規模農家(認定農家)と連携しながら農産品の栽培・管理を行うことで「農地の保全」と「相互の経営安定」につなげています。

近年の実績では、営農組合が受託した12.1haの農地について利用権設定したうえで、9haは自営農家(オペレーター9名 ※2haを上限として)に委託し、耕起から調整までの全作業を行い、残りの3.1haは、営農組合が施肥、水管理、草刈りを行ったうえで、主要な機械作業を集落外の大規模農家に委託、また、0.6haを黒大豆、0.1haを山の芋として営農組合で栽培・管理しました。

このような形で栽培・管理することで、①営農組合では機械・施設の設備投資が抑えられ、②集落内の自営農家(オペレーター)は所有する機械・施設の有効利用と収益の増大につながり、③集落外の大規模農家では農地が集約され、機械の移動時間が少なくなるとともに、水管理などの中間管理作業が不要となり、生産性の向上が図られるというメリットが生まれます。このような活動を通して、集落内の農地を保全しながら、それぞれの農業経営の向上に寄与しています。

共同利用、労力補完による「丹波篠山黒大豆づくり」

丹波篠山黒大豆の共同防除

丹波篠山黒大豆の乾燥機、脱粒機、選粒機の共同利用により機械投資の抑制と生産費の低減を行うほか、高齢化によって防除が難しくなってきている中で、営農組合が年間5回の共同防除の活動を行い、各生産者において安定的に高品質な黒大豆生産を実現し、丹波篠山黒大豆の産地化とブランド化に寄与しています。

ANAグループと連携した「都市との交流」

2021年からANAグループの「地域貢献ボランティア事業」に取り組み、黒大豆の定植、黒枝豆の収穫などの作業を毎年60名ほどのANAグループの従業員と行っています。この取り組みは、関係人口の拡大だけにとどまらず、黒枝豆の販売などを通した地域の活性化にもつながっています。

組合活動への「参加意識の向上」

オフセットモアによる草刈り

農家ではない集落住民や、農地を保有するが農業は行っていない集落住民に草刈り作業への参加を呼びかけ、共に作業を行うことを通して組合活動への関心を高めています。また、オフセットモアを導入し、農地や農道、河川の共有部分、山際(わち)の草刈りを行い、地域の環境保全と美化に貢献していくことを通して、組合活動への理解を深めています。また、全組合員による慰労会や、役員を対象にした研修会、農業に関する学習会を行い、役員の知識向上にも取り組んでいます。

「人・農地プラン」の推進

2015年8月に泉集落の農地保有者に意向調査を行った結果、5年後には35%の農地について農作業を「委託したい」という意向であることがわかりました。委託先としては「いずみ営農組合に預けたい」が最も多くなりました。これを受けて、集落外の認定農家にも協力いただき、将来の農地の担い手について話し合いを行い、2016年2月に「人・農地プラン」を作成しました。このプランの作成とあわせていずみ営農組合の法人化を行い、集落内に耕作できない農地が発生した場合でも、さまざまな形で農地が維持できるしくみをつくることができました。

話し合いの様子